年次学術大会

学術大会

 第13回 日本カイロプラクティック科学学会学術大会
~ オンライン学会 ~

今年度の学術大会はZoomを使用したオンライン学会となります。

日本は高齢化率(※)が世界一とされ、65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えた超高齢社会です。毎年増大する国民医療費の抑制は国の課題であり、社会保障制度全体の改革が求められています。アメリカをはじめとする欧米では、疾病治療だけでなく、医療費抑制に効果的な科学的根拠(エビデンス)に基づく予防法や健康管理、伝統医療・補完医療の活用を取り入れた医療政策に移行しています。日本においても、同様に予防や治療、健康管理に関する情報を国民に提供することで、国民の健康寿命を延ばし病気になったり介護が必要となる時期を遅らせ、結果的に国民医療費の抑制に役立つと予測されています。今回は「健康寿命の延伸に向けた筋骨格系ヘルスケア」をテーマに、筋骨格系医療の専門家による基調講演、招待講演、会員の研究発表を予定しています。

2020年世界銀行による高齢化率(高齢者人口比率)国際比較統計

【会期】2022年6月19日(日)・20日(月)
【会場】オンライン学会(ZOOM利用)
【大会長】三輪健彦(一般社団法人日本スポーツカイロプラクティック連盟会長)
【テーマ】「健康寿命の延伸に向けた筋骨格系ヘルスケア」
【主催】日本カイロプラクティック科学学会
【後援】(一社)日本カイロプラクターズ協会・(一社)日本スポーツカイロプラクティック連盟
【協賛】株式会社クロンティップ、株式会社ジュート

【基調講演】

  • 松田 秀一(京都大学医学研究科 整形外科学 教授)
  • 金 憲経(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)
  • 角 由佳(WHO〈世界保健機関〉母子・新生児・思春期保健及び高齢化部 メディカル・オフィサー)
  • 永岡 高行(厚生労働省医政局医事課)

【招待講演】

  • 池田 奨(機能神経カイロプラクティック 院長)

基調講演

運動器疾患の啓発活動
〜運動器の健康・日本協会、日本整形外科学会の取り組み〜

松田 秀一
(京都大学医学研究科 整形外科学 教授)

 運動器の健康・日本協会は、2000年に「骨と関節の10年」日本委員会として発足しました。その後、世界保健機構(WHO)の提唱で始まった「運動器の10年」世界運動に呼応し、2002年に運動器の10年・日本協会へと改称し、2017年から現在の運動器の健康・日本協会として活動しています。この間、1.「運動器」という言葉の定着、2.運動器が健全であることの重要性の啓発、3.運動器疾患・障害の早期発見と予防体制の確立という3つの大きな目標を掲げて活動を行ってきました。そして、2004年に国策である「健康フロンテイア政策」への運動器の採用が実現され、2005年には「介護予防10カ年政策」に運動器が採用されました。さらに、2016年4月から学校の健診に運動器検診が制度として導入されています。現在は、1)運動器の健康・日本賞顕彰事業、2)季刊誌「Moving」発刊などの広報事業、3)運動器健康推進事業を3本柱として、会員74団体の協力を得てこれらの事業を遂行しています。
日本整形外科学会は、平成19年にロコモティブシンドローム(ロコモ:運動器症候群)という概念を提唱しました。ロコモは、加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態を表す概念です。ロコモ対策は、高齢化が急激に進むわが国の現状において、ますます重要度が増してきています。ロコモ度テストにより、ロコモでない状態、ロコモが始まっているロコモ度1、ロコモが進行したロコモ度2、ロコモがさらに進行して社会参加に支障をきたしているロコモ度3を判定します。ロコモ度3は「運動器が原因の身体的フレイル」に相当します。ロコモを進行させないために、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)のメニューも作成し、推奨しています。

 

筋骨格系の健康及びフレイル予防について

金 憲経
(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)

 厚生労働省の健康日本21推進専門委員会の資料によれば、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上伸ばす政策課題を掲げている。その目標実現のための1つの柱が「介護予防・フレイル対策」である。また、介護が必要になった主な原因(2018年度版高齢社会白書:内閣府)は、筋骨格系の衰えが大きく占めている。筋骨格系の健康は、健康寿命の延伸や介護予防の側面から極めて重要である。筋骨格系の健康を考える上で、欠かせない機能は移動能力である。歩行機能は転倒・フレイル・痛みと強く関わっている。演者が調べた結果によれば、歩行速度は1回転倒と、2回以上の複数回転倒とは歩幅、歩行角度左右差が有意に関連し、軽症膝痛には歩行速度が、中程度以上の膝痛には歩隔、歩行角度が有意に関連していることから、歩行速度のみならず、歩行パラメーターの分析が重要であることが示唆される。筋骨格系の健康に深刻な影響を及ぼすもう一つの要因は腰痛や膝痛である。演者が膝痛高齢者を対象に行った運動と温熱療法による介入結果によれば、運動+温熱療法は膝痛の改善に、運動+栄養群は腰の違和感の改善に有効であった。
次は、フレイルの問題解決策である。まず、栄養補充である。とくにタンパク質、ビタミンD、アミノ酸等の補充が効果的であるとの指摘が多い。次は、運動である。多くの研究で運動介入による筋力向上、歩行機能改善、筋量増加の効果を認めている。ポイントは、どの運動がフレイル発症や進行予防に有効かである。また、運動のみでは様々な限界がある。なぜならば、フレイル高齢者は糖尿病、骨粗鬆症、変形性膝関節症の既往が多く、腰痛や膝痛の保持者が多いからである。現段階では、運動単独あるいは栄養単独よりは運動と栄養補充の併用を推奨している。今回の講演では、筋骨格系の健康維持やフレイル予防に対する運動・栄養介入の効果と課題について概論し、議論を深めたい。

 

高齢者のための包括ケア、健康な高齢化の10年

角 由佳
(WHO〈世界保健機関〉母子・新生児・思春期保健及び高齢化部 メディカルオフィサー)

 令和2年「健康な高齢化の10年(United Nations Decade of Healthy Ageing 2021-2030)」決議案が、国連総会本会議での採択されました。世界的に人口高齢化が加速する中、人々と家族、そして地域社会が健康的に歳を重ねるために、10年をかけて、政府、市民社会、国際機関、専門家、アカデミア、報道機関、民間セクター等の協調行動を促すものです。「健康な高齢化の10年」では、4つの分野での行動を呼びかけています。

  • 年齢や高齢化に対する考え方、感じ方、行動(エイジズム)を変える
  • コミュニティが高齢者の能力を育成することを保証する(高齢者に優しい環境づくり)
  • 高齢者のニーズに応じ、高齢者を中心とした包括ケアおよびプライマリケアを提供する
  • 要介護の高齢者に介護サービスを提供する

一方、筋骨格系疾患は、身体的障害の世界的に主要な要因であり、その中で腰痛は160か国において単独の障害原因として第1位となっています。筋骨格系症状が悪化すると、可動性や器用さが制限され、仕事を早期にあきらめ、ウェルビーイングの低下、さらに社会への参画する能力を低下させます。人口が増え、高齢化が進むことで筋骨格系疾患を持つ人は急速に増えています。
健康な高齢化の一分野である高齢者のための包括ケアは、内在的能力(身体的および精神的能力)、機能的能力の低下を防ぎ、最大限にのばせるよう、高齢者のニーズに応じ、地域に密着した医療、介護サービスを連携し, 包括的に途切れなく提供することを促進しています。筋骨格系の機能、活動性の向上は、WHOの高齢者の内在的能力低下を管理するための介入ガイドラインの推奨事項であり、基礎疾患および社会的, 身体的環境の評価, 管理とともに、ケアプランに含むことを推奨します。また、包括ケアの提供には、医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、カイロプラクター、ケアマネジャーなどを含めた多職種連携が重要です。

 

法律による規制及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止について

永岡 高行
(厚生労働省医政局医事課)

 世間で行われている様々な手技による施術等について、関係する法律や通知等を紹介するとともに、施術等による事故情報をもとに消費者庁が注意喚起した資料を紹介する。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた取組み等に関する情報について紹介する。

招待講演

脳と運動:筋骨格系ヘルスケアのための機能神経学

池田 奨
(機能神経カイロプラクティック 院長)

 近年、運動は全般的な健康維持・増進に重要なだけではなく、あらゆる疾患の予防から治療にまで有用であることが周知されています。Pedersen らは2015 年に運動を幅広い慢性疾患の治療として「処方」できる可能性を報告しています。運動・動き続けることは人の健康維持に必須であることが判明する一方で、人の生活は短期間に大きな変化を遂げ、テクノロジーの革新、マイカーや公共交通機関の発達で、動くことの機会が急速に失われています。座っている時間が 1 日の大半を占めるという人が珍しくない今日、さらにスマホやタブレット機器の急速普及で、身体的な運動だけではなく、「脳の運動」も制限される事態になっています。もともと活動することで機能が維持されるように設計されている脳と体が活動の機会消失により、様々な障害が生じてしまうことが判明しています。
医療機関だけではなくあらゆるメディアから運動の大切さが啓蒙されています。公共施設やフィットネス施設でも運動機会が提供され、さらには一人で手軽にできる運動や自宅での運動方法なども幅広く紹介されています。しかしながら、様々な理由から運動がうまく行えない人々は多く存在しています。 そんな人々をサポートする手法は多々ありますが、その中の一つに機能神経学があります。機能神経学はカイロプラクターである Ted Carrick により提唱され広まったアプローチで、米国カイロプラクティック協会(ACA)の専門認定の一つ、Diplomates of American Chiropractic Neurology Board (DACNB)が主に提供しているアプローチです。今回の講演では、カイロプラクターとして、どのように人の運動に関わることができるのか、特に一般的な運動を行うことが困難ケースにおいて、機能神経学的な観点から議論します

研究発表(症例報告)

【プログラム】

6月19日(日)

13:00-13:05 開会挨拶 第13回学術大会 大会長
(三輪健彦, 一般社団法人日本スポーツカイロプラクティック連盟会長)
13:05-13:10 代表挨拶
(鶴岡正吉, 日本カイロプラクティック科学学会代表・昭和大学歯学部客員教授)
13:10-14:00 基調講演①
(角由佳, WHO 母子・新生児・思春期保健及び高齢化部 メディカルオフィサー)
14:00-17:00 招待講演
(池田奨, 機能神経カイロプラクティック 院長)

※14:00-17:00 途中休憩あり

6月20日(月)

10:00-11:00 基調講演②
(松田秀一, 京都大学医学研究科 整形外科学 教授)
11:00-12:00 基調講演③
(金憲経, 東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)
12:00-12:30 基調講演④
(永岡高行, 厚生労働省医政局医事課)
12:30-14:00 昼休憩
14:00-16:00 研究発表(症例報告)
16:00 閉会

※14:00-16:00 途中休憩あり

【参加費】
■ 正会員 8,000円(オンライン参加)
■ 卒後1年 5,000円(オンライン参加)
■ 学生会員 無料(オンライン参加)
■ 非会員 12,000円(オンライン参加)

【抄録集】5月下旬に抄録集をPDFデータでお送りします(無料)。印刷冊子をご希望の方は郵送でお送りいたします。(300円:郵送料込)

【お願い】

  • パソコン画面上でのビデオや携帯電話での動画撮影、および写真撮影はご遠慮ください。ご了承の程よろしくお願いいたします。

【申し込み】申し込み締め切りは6月10日(金)です。

【大会事務局】 日本カイロプラクティック科学学会事務局
東京都港区西新橋3-24-5-503 一般社団法人日本カイロプラクターズ協会内
電話 03-3578-9390 E-mail : info@chiropractic.or.jp

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日本カイロプラクティック科学学会
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